2019/3月11日 平成31年所得税改正大綱のポイント-法人税-
平成31年度税制改正大綱が平成30年12月21日に閣議決定されました。今回は法人税の論点について解説します。
1、研究開発税制の見直し
オープンイノベーション型について、大企業や研究開発型ベンチャーに対する一定の委託研究費等を対象に追加するとともに、控除上限を法人税額の10%(現行:5%)に引きあげられます。(一定の研究開発型ベンチャー企業との共同研究・委託研究に係る税額控除率については、25%とされます)
総額型について、増加インセンティブの強化の観点から控除率を見直すとともに、研究開発を行う一定のベンチャー企業の控除上限を法人税額の40%(現行:25%)に引き上げられます。控除率カーブが見直され控除税額率及び、税額控除上限の上乗せについて適用期限が2年延長されます。高水準型は総額型に統合されます。
2、中堅・中小企業等による設備投資等の支援
1)中小企業等の法人税率の特例の延長
対象 | 本則税率 | 租特税率 | |
大法人(資本金1億円以上の法人) | 所得区分なし | 23,2% | - |
中小法人(資本金1億円以下の法人) | 年800万円越の所得金額 | 23,2% | - |
年800万円以下の所得金額 | 19% | 15% |
2)中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制等の適用期限の2年延長
●中小企業投資促進税制
中小企業投資促進税制は中小企業における生産性向上等を図るため、一定の設備投資を行った場合に、特別償却(30%)、または税額控除(7%)(※)の適用を認める措置です。(※税額控除は資本金3,000万円以下の中小企業者等に限る)
●中小企業経営強化税制
中小企業経営強化税制は、中小企業の稼ぐ力を向上させる取り組みを支援するため、中小企業等経営強化法による認定を受けた経営力向上計画に基づく設備投資について、即時償却及び税額控除(10%)のいずれかの適用を認める措置です(※資本金3,000万円超1億円以下の中小企業者等の税額控除は7%)
また、働き方改革に資する設備(休憩室に設置される冷暖房設備や作業場に設置されるテレワーク用PC等)も本税制措置の適用対象であることをQ&A集等を通じて明確化されました。
●中小企業の災害に対する事前対策のための設備投資
中小企業が災害に対する事前対策を強化するための設備投資を後押しするため、自家発電機、制振・免振装置等の防災・減殺設備に対して、特別償却(20%)が講じられます。これは、事業者が作成した事前対策のための計画を、経済産業大臣が認定し、認定計画に含まれる設備の導入に対して、上記の税制措置が適用されます。
3、中小企業者の範囲縮小受贈者の所得要件設定を行い、適用期限が2年延長されました
租税特別措置法上の中小企業にかかる「みなし大企業」の判定における大規模法人の範囲が拡大され、大規模法人の支配下にある孫会社も中小企業特例の適用対象外とされます。
項目 | 改正前 | 改正後 |
大規模法人の定義 | ・資本金または出資金の額が 1億円超の法人 ・資本金または出資を要しない法人で 常時使用従業員数が1,000人超の法人 |
・大法人の100%子法人 ・100%グループ内の複数の大法人に発行済株式または出資の全部を保有されている法人 |